どんなに優秀な看護師も、激務に追われてたまにはミスを犯します。
注射や包帯の除去の際に、誤って患者さんの皮膚を傷付け出血を招くようなミスも実際に珍しくありません。
患者さんの名前を間違えたり、誤った種類の薬物を投与したりする事例も時々見られます。
名前の呼び間違いなどは、患者さん本人が気付くため、大問題に発展することは少ないでしょう。
しかし、オペの患者さんを間違えて他人の名前を書いたタグを付けてしまい、健康な部位の除去手術が行われてしまった事件などは看過できません。
他の患者さん用の薬物を投与して容態が重篤化した場合も同様です。
重大な過誤はもちろんのこと、どんなに些細なミスも笑ってごまかしたり隠蔽したりせず、きちんと患者さんにミスを認めて謝罪した上で、上司に報告することが大切です。
事故報告書として記録に残し、カンファレンスでも報告しましょう。
もっとも、自分のミスを公にするのは恥ずかしいため、つい無かったことにしようとする気になりがちです。
したがって、ミスの報告義務は、ミスを犯した本人だけでなく、目撃した同僚にも課す方が良いかもしれません。
看護師にとって報告の必要性が低い些細なミスであっても、患者さんが重大なミスと捉えて病院側に問題提起した場合、報告を怠った看護師は上司から厳しく咎められるでしょう。
ミスしても大事に至らず事故報告書の記載が不要な場合も、ヒヤリハットとして記録を残すことが望ましいと言えます。
ヒヤリハットの積み重ねによって看護師たちが問題意識を共有し、ミスを未然に防ぐきっかけになるからです。